うんと豪華なクリスマス

 「すぐそこに正月が控えているな」

 なーんて、午後の昼さがりPM3:40分に茶を飲みながら、せんべをかじりながら、ようかんをモグモグさせながら、いろんなものを口に入れながらカミさんに言ったら。

 「なに言ってんの、もうすぐク・リ・ス・マ・ス。そんでもって今年の飾りつけはうんと豪華よ」

 などと言われた。

 うんと豪華って言ったって・・・いつもけっこう、それほど豪華ではないけど、そこそこ派手で、しかも日に数人は、孫の手を引いた近所の人、らしき人が来るほどなのですから。はやりほどほどでいいのではないかと考えるのです。なにしろ飾りつけはけっこうたいへんで、片付けもけっこうたいへんなのです。

 ぼくはさらに口をモグモグさせながら

 「そうだこうしよう。あのね、今年はうんとシンプルでしかもデザイン的に優れていて、それでもって近所の人からも、派手ではないけどセンスいいね。なーんて言われる、そんなヤツでまとめよう」

 少しばかり緊張感をもって述べたのですが、即座に

 「ダメ!。そういうのはうんとセンスがいい人でないとダメなのよね。お父さんもあたしも、そのへんのセンスは人並みだからね。だからうんと時間を掛けてゴタゴタにして、そんでもって派手にするのがベストね」

 少しばかりの緊張感は無駄で、そのうえにもっと派手にしたいなどという言葉まで聞いてしまいました。なんとも気が重いかぎりです。

 そんなことで、11月の暦を1枚めくれば、我が家では壁面ゴテゴテの準備と、やはり室内の若干外側より縮小されたそれなりのゴテゴテ装飾も始まります。室内は赤系統の色でまとめられていくのです。

 ぼくは少しうつむき、小さな手で胸を押さえながら、不整脈を気にしながら散歩に出かけました。かわいそうなケンタクンも、イブには赤い帽子などをかぶせられ、写真を撮られたりします。ほんとうにかわいそうなのです。

 断言します!ぼくもケンタクンも、清く正しい正月派なのです。エライのです。