高血圧とサプリメント 1

 
 サプリメントなるものをちょっと前から飲みだしているのです。ぼくは本来この手の薬が苦手で、いっさい拒否していたのですがね。

 なぜ急に飲みだしたかというと特に理由はありませんん。ただ食後に、何か甘いものがないかと、いじきたなく、台所の棚をアッチコッチ探していて、偶然こいつらを発見してしまったのですね。

 サプリなる称号を持つやつらですが、みんな仲良く、小さなタッパのなか6個ほどの小瓶に入っていましたよ。少々の驚きと戸惑いと緊張をもって小瓶をチェックしてみると、それら小瓶の頭には、ビタミンCだのEだの、Fだの、青野菜だのとマジックで書かれていました。

 そこでぼくは「ウムッ」っと、一言。それこそ大人の小さな驚きをキチンと正しく声にしました。もちろんちゃんと右手も右あごの下側に添えてね。いちおう大人社会ではお決まりのポーズなのでね。

 しかししかし、ぼくのように60も近くなると、キチンとした大人社会の住民たる資格を目指すなんていうことじたいが、はなはだお笑しいことらしく、お笑いであるらしく、アッチコッチから非難ごうごうのメールをいただくこともあります。

 でもそういった社会の決まりごとについては、じつを言うとずっと前から目指しているのです。最近ではないのです。もうずいぶんと長い年月になります。でね、うんと長く目指してはいても進歩がないだけなのです。

 だからこの年になったいまでも、ぼくはあまり得意でなく、たぶんいつまでも得意でなく、きっと得意でないままくたばるのでしょう。

 さて本日、ぼくは内科のお医者に行きました。ぼくは近所に住んでいる娘の赤ん坊に風邪をうつしたくなかったので、早めの勝負に出たのです。しかーし、医者では急に血圧を測られ、そんでもって診察のあいだじゅう高血圧の話ばっかりです。

 「いけませんねぇ。睡眠はキチンととってますかぁ、お酒はほどほどにしないとね。あっと、それからタバコはだめですよタバコは」

 「えと、睡眠はキチンととっています。それから酒もタバコも止めました。もうやめてから30年になります。

 「あのねぇ、そこいらはけっこう重要だけどもっと重要なのは塩分ね、とりすぎは絶対だめ」

 「はい、えと、塩分は極力避けるようにしています。この3ヶ月ぐらいは」

 「3ヶ月じゃあダメだよ。もうずーーーーっと避けないとね」

 「はい、わかりました」

 こんな感じでずーっと高血圧ばっかしです。ぼくは風邪のほうはどうなったのだろうと、やはり普通の大人が考えるであろうことを、やはり考えました。

 ちょいとながくなりそうなのでこの続きは明日にいたします。乞うご期待。

 

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