タヌキ捕まる
いつもより暖かい朝のことです。
ぼくはきょうも、6時過ぎに家を出たのであります。まだあたりはうっすらと暗く、気温はいつもより高めだけど、あたりが暗いので気分はやはり100を基準とするならば30ぐらいでしたね。
しかしながらよく言われるのですが、ぼくの気分がそれほどでもないときの全体は、なんと、そこはかとない哀愁が、アチコチにただよっているらしいのです。
しかし哀愁は「愛執」や「愛醜」になる恐れもあり、だから非常に残念だけど、ぼくはそれを極力抑えるのであります。大人なのであります。
あのね、ここだけの話だけどね、中年男のいわゆる哀愁は、それはもうね、そのいわゆる女性への効果としては、いわゆるひとつのたいへんな武器なのでありますね。だからじっさいのところすごいのであります。なにが?
まぁ、とにかく、きょうはちょっと「あります」が多いのでありますが、そこいらは勘弁していただいて、とにかく哀愁ただようぼくは、やはり基本的にイロイロな面でカッコイイのであります。ムハハハ。
いったいオッサンは何が言いたいのだ!とお怒りの皆様、マアマアマア落ち着いて。とにかく話は最初に戻ります。
哀愁を極力抑えてトボトボ駐車場に向かっているぼくに誰かが声をかけます。
「しまった、極力抑えてもぼくの哀愁は抑えきれないのか!」などと、大いに反省しつつ振り向くと
「深津さーーん」と、いつもお世話になっている近所の農家のおじいさんがぼくを手招きしています。おじいさんでした・・・ なにせほとばしる哀愁は極力抑えていましたからね。
でね、おじいさんが嬉しそうに
「捕まえただ、捕まえただ、捕まえただ」と、3回言いました。
ぼくもいちおう礼儀かなと思ったので
「何をですか、何をですか、何をですか」と、3回聞きました。
「んだ、たぬこうだ。鍋にはしねえぞ、飼うだ、馴れっかな?」
一瞬その言葉の意味がよくわからず身構えましたが、とにかくぼくの偏っていてもある種変質的だけど冷徹な頭脳が、約0・8秒後にはその都市近郊の地方語を理解していたのであります。
きちんと皆様にわかるように整理するとこういうことです。
1 タヌキを捕まえたぞ
2 かといって鍋にするために捕まえたのではないぞ
3 飼ってみることにしたぞ
4 うまく人に馴れるだろうか
ということです。詳しく聞くと、この3週間ほど畑が荒らされて、けっこう被害が出ていたとのことでした。原因は蕎麦屋からもらってきただし汁のカスを肥料としてまいたこと。そのにおいに、近所の黒目川沿いに住まっているタヌキがやってきたらしいのです。
とにかくぼくは、おじいさんがタヌキを鍋にするつもりがないらしいので安心しました。この先しばらくは、タヌキの話題が時々出てくるかもしれません。なんとか馴れるといいなと思います。
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