奥歯よさらば その4

 一部の読者から、いったいいつまで奥歯で引っ張るのだ。いいかげんにしろよ!などという、ぼくのバンビ心臓がいまにも止まるのではないかと思うような厳しいご意見がありました。

 一部読者様には、まっこと申し訳ありませんが、そういうことを意見されると、ぼくはこのさきズーーーットタイトルを「奥歯よさらば その54637824691」まで続けちゃうぞ!などと考えてしまうとんでもないアマノジャクなのでありますから、そこいらは注意して意見するようにね。

 さてと、例の天使1号がですよ、裏口からひっそりと私服で出てきたのは、ちょうど私が正面玄関から出てくるのと同時です。そうか、ひょっとして天使1号は、ぼくの帰りにあわせて出てくるため、寒い裏口で息をこらしてぼくが出てくるのを待っていたに違いない。間違いない!

 裏口の寒さは北国の寒さに匹敵するのだ。そこでじっと耐えて待つことができるこの美人の白衣の天使は、極寒の北国生まれに違いない。でもって悪徳歯科医にもてあそばれ、傷心の心を癒すために、北国へこれから向うのかもしれない。

 でもってその傷心の痛みを、南国生まれでノー天気な?街のオッサンに打ち明け、すこしでも心を暖かくして北国へ向いたいのだ。だもんだからぼくを待っていたにちがいないのだ。

 いやいやひょっとして、短い時間であったけど、ぼくの全身から溢れる魅力に惹かれ、たとえ妻子もちでもいいからぼくとの逢瀬をこれから重ねたい・・・などと思うことがあってもいいじゃないですか!いけませんか!

 んじゃあなんですかい、年取ったら夢も希望も持ったらいけないっつうことですかい。あぁたねぇ、ぼくは年くってるけど、お金はあんまりないけど、背もそんなに高くないけど、いつもトラックに乗って仕事してるけど、脱ぐと凄いんです。

 だからどんどん逢瀬は歓迎なのです。ぜんぜんOKなのです。逢瀬だけではなくアッチモコッチも重ねましょう・・・などといったことを書いていると、また一部読者からご意見をいただきそうですね。えとね、ぼくは別にエロ路線を目指しているわけではありません。そこいらを期待する読者(たとえばkouheiさんとかkainさん)もいますが、ぼくは目指していません。誤解です。

 ここいらで懸命な読者はお気づきでしょう。「奥歯」・・・そう奥歯のことです。いったいオメエの奥歯はどうなったんだ!さらばした奥歯の話はどこ行ったんだ!天使1号の話はもういいからキチンと奥歯に話をもどせ!

 といった一部大人の清く正しい読者もいるのですね。そうだ!ぼくは本来の清く正しいオッサンに戻るのだ!脱ぐと凄い話はもうやめだ!

 なんてことを、真剣に思ってしまうのは、きっとバッタもんの安物麻酔を金儲けのために使っている杉山先生のせいかもしれません。

 アッアッアッアッーーーー

 なんと長い間妄想に浸っていたので、カンジンの北国1号・・・違うな北極2号・・・これはアッチ関係だなと、そうだ天使1号だ!彼女の姿がどこにもありません。まずったな、ちょっと妄想時間が長すぎたな、こんどは失敗しないようにしよう。とにかく2号が出てくるとやっかいだからそろそろ退散しよう。

 なんてぶつぶついいながら家路を急いだのであります。 もう続きません。