何度もなくして


 若いころの自分を懐かしむ。そんなじぶんを、少し複雑な思いでもう一人のぼくが眺めています。

 ずいぶんと年を重ねてしまったようです。そんなことが当然なのに、かたっぽではうなずきたくない自分がいるのです。

 ずいぶんと年寄りになってしまった感じがします。やはりね。

 旅をしたくなりました。とても切実にね。毎日が旅みたいな人生ですが、それでもときどきとんでもなく遠くへ旅立ちたくなります。

 そんな気分は、抑えることは、けっこう難しいですよね。だからぼくは、いつでも旅立てる人生を過ごしてきました。



 台北の夕刻

 街角の屋台

 食した串刺し
 
 手を取り合って朝ごはん

 何を求めたのかわからない

 何かをなくしたことだけはわかる

 何度くりかえすのだろう

          深津 勝