水溜り 257

      


雨が続きますね。じつを言うとぼくはそれほど雨が嫌いではありません。まぁ、なんというか天気が気分を左右することはあっても、だからといって天気を好きになったり嫌いになったりすることはないのです。


きょうも長靴を履いて、水溜りの水をアッチコッチに跳ね飛ばしながら・・・子供みたいに歩きました。いまでもそんなことが楽しく、よそ様がごらんになればアホおじさんかアブナイおじさん状態なのです。もっとも本質的にアブナイことは確かです。間違いありません。


さて散歩がてらの水遊びですが、連れの飼い犬は迷惑そうでした。ぼくを上目遣いで見ながら「タクなぁ、幾つになったと思ってるんだろ。まるで自覚がないんだよな、やんなっちゃうな、父ちゃんは」


なーんて思っているらしく、水溜りをみつけるとさっさと反対側に進路を変えようとします。ぼくは力いっぱいリードを引っ張り、どうしてもどうしても水溜りにたどり着くぞと、なんとか歩を進めようとします。ここいらが闘いなんですね。


しかしながら我が家の愛犬「ケンタクン」は、秋田犬の母親からその獰猛な精神と図体と闘争心だけはちゃんと受け継いだのですが、優しさとか、寛容の精神とか、人を愛するといった・・・いわゆる愛のこころ方面はいっさい受け継がなかったのです。まるで容赦がないのですね。


あのね、今日ぼくは、見事に水溜りで寝そべりました。水溜りですよ、大のオトナがなにが悲しくて水溜りに寝そべりますか。ミズスマシではないんですからね。うれしくなんかありませんよ。


この獰猛犬が、容赦なく、いきおいよくぼくを引っ張ったので、なんとか踏みとどまろうとした瞬間です。ぼくはぬかるみに足を滑らせてスッテンコロリン。いやはや声も出ません。


最初はすべってしりもちをついただけなんですが、そのまま第2のヒッパリ攻撃にあい、なんともだらしなく寝そべってしまったのです。背中をべったりと泥の中に漬けて、ちょっとの間だけど空を眺めてしまいました。灰色のね。


 学校帰りの中学生と小学世と近所のオババと畑仕事のオジジと野良猫と悪徳黒ガラスが、みんなでぼくを指差して笑っていました。ぼくもなんだかおかしくて笑っていました。

■ 男の整髪研究所
  http://seihatu.web.fc2.com/index.htm



ミズスマシ

 
みずたまりにはミズスマシがいたんだ

スイスイと気持ちよさそうだったな

あきずに見続けていたっけ

連中はどこへいっちまったんだろう

田舎に行けば会えるかな

ミズスマシ会いに行こうかな 

いつか・・・きっと

           深津 勝