すべて夢の中

  


すべて夢の中

朝から雨、ずっと雨が続くと思ったらそれほどでもなく、それでも未練たっぷりに昼過ぎまでふったり止んだりしていましたね。もっとも未練がましいのは大好きです。ぼくなんかいつまでもいろんなことを未練がましく持ち続けています。



話は突然飛びますがぼくの育った家では、居間に天皇皇后両陛下のお写真が飾られていました。でもって天皇陛下は日本のお父さんで、皇后陛下は日本のお母さんと教えられたのです。毎日のように天皇様と皇后様に見つめられて育ったのです。



ぼくの精神は、普通の子供らと違う育ち方をしているので、なもんだから毎日見つめられているうちに、ぼくのお父さんとお母さんはひょっとしたら天皇様かもしれないと、その方向に進んでしまったのですね、しょうがないのです、なにせ毎日見つめられていましたから。



そのうちいくらか普通の精神が育ってきてからも、やはり小さい時分の記憶も出始めて、いろんなものが混じりあっていつのまにかぼくは天皇の隠し子になっていました。時が時なら不敬罪になりそうです。つまりいろんな悲しい記憶を、子供なりに良い方向に持っていく術を自然に習得したに違いないのです。そう思っています。



あのね、ずいぶんとさらっと書いたけど、これはふつうはずいぶんと悲しいことなんです。だから引きずるのです。いつまでも。無理やり忘れることはね、やはり無理のようです。だから無理はしません。



散歩の帰り道、いつも通る学校脇で交通監視員のおばさんに挨拶をします。おばさんはいつもにこやかにぼくを見て、ケンタクンをみて挨拶をしてくれます。小学生の子ども達も元気よく挨拶をします。



たぶん、ぼくが子供の頃、交通監視員のニコニコ笑顔に出会っていたら、ぼくはその人をお母さんにしていたことでしょう。ハハハ、なんとも都合いいですね。



生き急いだとは思っていません。けど、早くオトナになりたかったことは事実です。だからやはり、やはり少し急いだかもしれません。ふりかえればすべて夢のようです。





 ときどきの雨




 中途半端な雨は気持ちを濡らすね

 できたらガツンと降ってほしい

 心の音楽をかき消してほしい

 休むのは勝手だけどさ

 中途半端はいやだな

 せめてつぶやきを消してほしい

 雨音だけでね

          深津 優


       


腹が出てる!

「弱ったなぁ」と、ぼくは自分のお腹をながめながら、こいつは本格的にナントカしなければいけないなと、真剣に思いましたよ。こんなんじゃなかったんです。ついこの間まではね。ついこの間はちょっとオーバーかな。でも50台の始まりのころまでは、お腹関係はけっこう自信があったんです。


じつはね、今日、昼間、ちょっとばかし腹が空いたので、カミさんも娘も、はたまたいつも意地悪そうな目で我が家をチェックしている悪徳黒カラスもいないこと確認して、片っ端から食いたいだけ炭水化物方面を食いまくってしまったのです。満足したなぁ。満足はしたのだけど・・・


なんだかね、少ししたら自分の腹がとんでもなくフクレてるのを実感してしまったのです。なもんでとにかくここは我が家の愛犬ケンタクンと、日曜でもあるし、少しばかり遠出の散歩でも行ってくりゃあ、あっという間に腹も引っ込むだろうと出かけました。長袖を着て長ズボンを穿いて、汗イッパイイッパイの体制もキチンと整えながらね。


PR なんと1食35Kcal寒天ラーメン


今日もいい天気だったので、昨日に引き続き大汗をかきましたよ。おかげでお腹の下の腰まわりなんかは、汗だまりができたせいか、なんとも痒くて、知らず知らずのうちにかきむしってしまいました。まぁそれはそれでけっこう気持ちいいんですけどね。


あのさぁ、最近とくに思うんだけどね、若い時分の食べても食べても、そりゃあ一時的に腹がフクレることはあっても、次の日にはすっかりペッタンコでカッコイイお腹にもどっていたあの時代は、どこへ行っちまったんだろうかとね。


たった一日バカ食いしただけで、お腹がフクレて、そんでもってそのフクレはそのままいつまでも直らなくて、挙句の果てにそのまま定着するといった、激しくオヤジ方向に舵をきったのはいったいいつの事なんだろうとね。こんな不条理が世なか通っていいものかと、ぼくは怒り、激しく机を叩きましたよ、ドン・・・


えともちろんバカ食いしなければいいことで、そこいらがキチンとした大人方面の生活をしている人々とぼくとの決定的な違いで、であるからキチン人生にはアタリマエのようなことが、普通ではないこのおじさんには大問題なのです。


フクレた腹をみながら、ケーブルテレビで痛快活劇を見ながら、いつの間に寝ていました。でもって「いいんだこれで、これも人生なんだから」なんてなことを、夢の中で優しく思いました。